想い 断熱への取り組み

現在の自宅は2009年建売住宅2階建てを購入(断熱等級4→5へ改修)
・19歳で阪神大震災を経験
・震災後に建設会社に就職
・13年間現場監督として鉄筋コンクリート造・鉄骨造・木造の住宅や施設のものづくりとメンテナンスを経験、その後(マンション)給排水設備改修工事に従事した中で古くなった建物を手入れすることで不安要素が取り払われ、お住いの方が安心して生活を過ごされることに自身も喜びを感じています。
2019年3月初めて北欧を訪れた時に感じた断熱気密性能
日本に比べて寒い気候(冬の北海道に近い)にもかかわらず、訪れた施設や店舗、住宅のどこでも暖かく、室内の温度差がないことに驚きました。現地の友人にその理由を尋ねると、国レベルで住まいや施設の断熱性能を向上させる取り組みが進められ、それにより国と国民のエネルギー負担が軽減されていることを知りました。
帰国してから色々調べると『日本の断熱・気密性能は夏も冬も我慢が必要なつくりになっていることが多い』と再認識したのですが具体的な行動には至りませんでした。

2022年4月最愛の母との別れ
私の実家がある四国を含む東京以南の地域(6~8地域)では、これまで断熱対策がほとんど行われてきませんでした。冬の寒さが厳しい東京以北では、断熱対策が生死に関わるため比較的しっかりと施されているのとは対照的です。南部地域では、冬の寒さは我慢して乗り越えるものだという認識が根強く残っているのです。
そんな実家で、呼吸器系の病気で療養中だった母は、特に夜間の寒さを訴えていました。私たちは、オイルヒーターやホットカーペットなど、複数の暖房器具を組み合わせて寒さ対策を行っていました。しかし、ある朝、父が水回りで倒れている母を発見するという悲しい出来事が起こってしまいました。この経験は、適切な断熱対策の重要性を痛感させる契機となりました。
母を見舞った時、今でも耳に残る言葉があります。それは、母がつぶやいた「さむい」という一言でした。
オイルヒーターで室温を一定に保ち、それに加えてホットカーペットも使用していました。それでもなお、母は「さむい」と感じていたのです。

今になりわかる『さむい』の意味

この「さむい」という言葉は、当時は気づきませんでしたが、今思えば、家全体の断熱性能の不足を訴えていたのかもしれません。この経験は、私に断熱の重要性をさらに深く考えさせるきっかけとなりました。
しっかりと温めた部屋でも断熱気密性能が低いと、窓、床、天井の表面温度が下がり、室内を温めようとするほど、外部から侵入する隙間風をより取り込みます。それぞれの温度差がかなり大きくなり室内の温度差の対流で発生し体感温度は室温より低くなります。これは衰弱した状態だと体への大きな負担となります。
※1ヒートショックがその代表的な例です。
室内環境の整備には、エアコンやストーブなどの機械的な対策だけでは限界があります。

私は行動を開始しました。
先ずは自宅の断熱・気密性能を改善しようと動きだします。

自宅は断熱性能では等級4をクリアするぐらいでした。
この性能は冬場に外気温が0℃だと非暖房室は10℃を下回り7~8℃ぐらい床が冷たくなります。
日本の既存住宅の約8割はこの基準を満たしていないのが現状です。

床下に入って断熱材を付加して、2階の天井裏には断熱材を敷き込み、窓には内窓を取付けます。その結果、外気温0℃でも非暖房室は13℃を保ちます。
2階のリビングは暖かさを保ち、これまで夏はエアコンを22℃設定強風でも冷えませんでしたが、27℃弱風で涼しく感じるほどになりました。
この結果に家族も快適になり大変喜んでくれていますし、訪れる友人なども驚きます。
既存住宅に工夫して手を加えることで改善することで喜びを感じました

この成果を広めたい!
家のお医者さんになるのが私の目指す目標です。
今後は高性能な新築住宅が少しずつ増えていくとは思いますが、既存の断熱気密性能が低い住宅を改修し活用することは、地球環境への配慮や経済的負担の軽減という観点から重要です。今住む大切な家を、家族や訪れる友人が安心して心地よく過ごせる家そして長く愛される住まいにすることにお手伝いしたいと考えています。

私が断熱に取り組んでいることを知った友人・知人などから依頼を受けて断熱工事に取り組んできました。
その中で家が快適になったと嬉しい感想をいただいており、よりたくさんの人にその快適さを届けたいと願いホームページを立ち上げました。

特に、現在の住まいに愛着がある方、お住まいの家を快適にするために、ぜひ一度お声がけください。一緒により良い住環境づくりを考えていきましょう。

増田敬太郎

※1 室温の急激な温度変化によって、血圧が急激に上昇・降下したり、脈拍が早くなったりするなど体に負担が生じ、心筋梗塞や脳血管障害などを発生することがあります。
2022年の年間累計データーでヒートショック関連死者数(17,000人)は交通事故死者数(2,610人)と比べると6倍にもおよびます。