気流止めとは、床下や小屋裏から壁の中へ通る空気の経路を、壁と床・天井の取り合い部で区切る施工です。
ちょっと難しいかもしれませんね。
簡単に言うと、壁の中を通る空気の流れを止めることです。
外の空気が壁の中を通れば、壁内結露に直結しますので、家にとって非常に好ましくないということだけ抑えていればOKです。
古い木造戸建てでは、断熱材を追加して、家の断熱性能を上げるかどうかを決める前に、この空気の通り道も一緒に確認する必要があります。むしろ、こちらを優先すべきですね。
「気流止め」という言葉だけを見ると、何か特別な断熱材を入れる工事のように感じるかもしれませんが、そうではありません。断熱材が役割を果たしやすい状態を整えるための、大切な施工のひとつなんです。
気流止めとは、壁の中の空気の通り道を区切る施工
では、もう少し詳しく気流止めについて解説します。
すでにお伝えしましたが、気流止めは、その経路になりやすい壁の上下を区切り、壁の中を空気が通り続けないようにする施工です。
国土交通省も、断熱層内に気流を生じさせないために、壁の上下の取り合い部へ気流止めを設ける考え方を示しています。国も推奨している施工法なのですが、現状では、法的には縛りはありません。私の見解では、勉強熱心な一部の施工会社のみが実施しているだけで、まだまだ普及できているとは言い難いのが現状です。
誤解される方もいるので補足しておくと、気流止めは断熱材の代わりではないのですが、実施することで、家の断熱性能は確実に上がります。その理由は、壁の中の空気の動きがなくなるためです。静止した空気の中に断熱材が存在することで、断熱材の本来の性能が発揮されるからです。

窓のすきま風とは、気流は違う。
「気流」と聞くと、窓や玄関から風が入ってくる状態を思い浮かべる方も多いと思います。
窓まわりのすきま風は、外の空気が室内へ直接入ってくる現象です。対して気流止めが関わるのは、主に床下・壁の中・天井裏といった、普段は見えない空間を通る空気です。
だからこそ、気づかないうちに、家の断熱性能を落としていきますし、結露やカビの原因にもなり、家の耐久性まで劣化させる要因になっているので、本当によくないんです。
古い木造戸建てで関係しやすい理由
とくに関係しやすいのは、床下と小屋裏が外気の影響を受けやすく、壁の中に空気の通り道ができやすい木造軸組の住宅です。
床下の冷たい空気が壁の中へ入り、上へ抜ける状態になると、壁に断熱材が入っていても、その周辺の温度に影響することがあります。足元や壁際に冷たさを感じるとき、断熱材が入っているかどうかだけでは判断しにくい理由がここにあります。
ただし、古い木造戸建てなら必ず気流止めが必要、という意味ではありません。
たとえば、床下が断熱の内側にある基礎断熱の住宅では、壁の下側に同じ考え方を当てはめない場合があります。小屋裏が断熱の内側にある屋根断熱でも同様です。構造や、すでに行われた改修の内容で見方は変わります。
工法によっては気流止めがなくても気流が発生しにくいケースもあるということです。
このあたりは、実際に現地を詳しく調査しないとわからないところではあります。
ですので、一般論として「気流止めを入れるべき」と聞いても、そのまま自宅の結論にはしないことが大切です。
確認したいのは「入口・通り道・出口」
では、プロがどこを見るかをお伝えします。
空気がどこから入り、どこを通り、どこへ抜けるのかを考えるとイメージしやすいかと思います。
まず見たいのは、床下と壁がつながる部分です。古い木造住宅では、外壁や間仕切り壁の下側が、床下から空気が入り込む入口になっていることがあります。
次に、その空気が壁の中を通る可能性を見ます。そして、壁の上側と天井裏・小屋裏の取り合いが出口になっていないかを考えます。
もちろん、壁の中は見えません。床下点検口、押入れの天井、天井裏など、確認できる場所も家によって違います。見える一か所だけで「ここに気流止めを入れればよい」と判断するのは難しいですね。
気流止めは、床・壁・天井を別々に見るのではなく、空気の経路としてつなげて見るための確認項目だと考えてもらえばよいかと。

次の三つを分けて考えると、状況判断がしやすくなります。
- 寒さを感じる場所:足元なのか、壁際なのか、部屋全体なのか。
- すでに断熱されている場所:床・壁・天井のどこに、断熱材があるのか。
- 確認できる場所:床下、天井裏、押入れの上など、無理なく状態を見られる入口があるか。
この三つが分かると、気流止めだけを追加する話なのか、床・壁・窓を含めて優先順位を考えるべきかが、少しずつ見えてきます。
気流止めって、どうやってやるの?
気流止めには、断熱材、木材、面材、気密材などを使う方法があります。
要するに、空気の流れを止めればいいので、極論を言えば隙間を塞げるなら何を使ってもいいんです。
私たち「断熱リフォーム相談室」では、もともと天井や床に入っていた古い断熱材を取り出して、壁と床・天井の「隙間(空気の通り道)」にギュッと詰め直す方法もよく使います。
昔の断熱材は、厚みが足りなかったりヘタっていたりして、そのままでは断熱性能が落ちていることが多いのですが、「隙間を埋めて風を止める素材(気流止め)」としてはまだまだ大活躍してくれるからです。
そして、古い断熱材を抜いた天井や床には、最新の分厚く高性能な断熱材をすき間なく敷き直します。
既存の資材を気流止めとして無駄なく再利用できるため、余計な部材費や処分費を抑えられてコスパが非常に良い、おすすめの施工法です。
まとめ
どんなに高性能な断熱材を入れても、壁の中に冷たい空気が通り抜けていては、十分な暖かさを実感できません。断熱材がしっかり仕事をするための「土台づくり」こそが、気流止めの役割です。
- 壁の中の空気の流れを止めることで、断熱材本来の力が発揮される
- すきま風とは違い、見えない場所の気流は結露や家の劣化にもつながる
- 家の構造によって必要な施工は異なるため、全体の空気経路を見て判断することが大切
足元の冷えや壁際の寒さが気になっている方は、「断熱材を増やす」ことだけでなく、ぜひ「気流を止める」という視点もあわせて検討してみてくださいね。


