古い断熱材は再利用できる?断熱改修での判断方法

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古い家の断熱リフォームを考えるとき、「入っている古い断熱材は全部捨てて、新しく入れ替えるもの」と思われる方は多いです。

もちろん、新しい断熱材に入れ替えたほうがよい場所はあります。ただ、古い断熱材は厚みが足りなかったり、へたりが見られたりしても、必ずしも処分するしかないわけではありません。

状態や入っている場所によっては、断熱材としてではなく、家の中を冷たい空気が通るのを抑える役目に生かせる場合があります。見た目や築年数だけで決めず、床下や天井裏で実際の状態を確かめることが大切です。

この記事でわかること

  • 古い断熱材をすべて撤去しない考え方
  • 再利用を判断するときに見る断熱材の状態
  • 気流止めとして生かせるケースと注意点
  • 新しい断熱材を入れ直す場所
  • 床下・天井裏を確認する大切さ

1. 古い断熱材は、すべて撤去しなくてもよい

再利用の古い断熱材は、すべて撤去しなくてもよいを表す図解イラスト

断熱リフォームでは、古い断熱材をすべて撤去して、新しいものへ入れ替えるイメージがあるかもしれません。しかし、古い断熱材を全撤去することだけが方法ではありません。

断熱性能を確保するため、新しく施工し直したほうがよい部分はあります。一方で、古い断熱材が残っていること自体が問題なのではなく、どのような状態で、家のどこに入っているかを見て判断します。

特に古い家では、床下と天井裏で断熱材の傷み方が違うこともあります。元の場所では断熱材として十分に働かせにくくても、別の役目に使える場合があります。

私は住宅業界で30年以上、断熱改修に関わってきましたが、まずは壊さずにできる方法があるかを確認したいと考えています。使えるものまで一律に処分するのではなく、断熱と空気の流れを見ながら使い分けます。

2. 再利用できるかは、断熱材の状態で決まる

古い断熱材の再利用できるかは、断熱材の状態で決まるを表す図解イラスト

古い断熱材を再利用できるかどうかは、築年数や写真だけでは判断できません。床下や天井裏で、断熱材の状態を目で確かめる必要があります。

見るのは、断熱材がどこに入っているかだけではありません。厚みが保たれているか、へたっていないか、落下やずれがないか、濡れやカビがないかも確認します。周囲の木材に傷みがないか、防湿や換気に問題がないかも大切な点です。

また、年代や材質が不明な断熱材、あるいは周辺材については、石綿など有害物質が含まれる可能性も確認しなければなりません。疑いがある材料をむやみに動かしたり、切ったりすることはできません。

同じ家でも、天井裏で見える断熱材と床下の断熱材を同じように扱えるとは限りません。断熱材そのものだけでなく、壁の中に空気が通る隙間がないかも見ます。断熱材の状態と空気の通り道を一緒に確認することが欠かせません。

3. 厚み不足やへたりがある断熱材を気流止めに生かす

古い断熱材 再利用の厚み不足やへたりがある断熱材を気流止めに生かすを表す図解イラスト

古い断熱材は、厚みが不足していたり、へたりがあったりすると、元の位置で断熱材として使い続けるのは難しいことがあります。

ただ、状態によっては、壁と床、あるいは壁と天井の取り合い部分に使い、気流止めとして再利用できる場合があります。

気流止めとは、床下や小屋裏から壁の中へ通る空気の経路を区切る施工です。簡単に言うと、壁の中を通る空気の流れを抑えるためのものです。

冬に床下の冷たい空気が壁の中へ入り、上へ抜けていくような流れがあると、室内が冷えやすくなります。床・壁・天井を別々に見るのではなく、空気がどうつながっているかを見ていく必要があります。

断熱リフォーム相談室では、既存の古い断熱材の状態と使用可否を確認したうえで、気流止めとして再利用する方法を採用する場合があります。その場合も、元の天井や床には新しい断熱材を施工します。

ただし、カビや濡れ、著しい劣化があるものは使えません。火気まわりや電気配線の近くなど、材料や納まりに注意が必要な場所もあります。構造、防湿、換気との関係も含めて見なければ、「古い断熱材なら気流止めに使える」とは判断できないんですよね。

4. 古い断熱材を抜いた天井・床は新しい断熱材で補う

再利用の古い断熱材を抜いた天井・床は新しい断熱材で補うを表す図解イラスト

気流止めに再利用できる断熱材があっても、天井や床にあった断熱材の役目まで補えるわけではありません。

古い断熱材を抜いた天井や床には、新しい断熱材をすき間なく入れ直すことが必要です。断熱材は、入っていればよいものではなく、すき間や欠けがあると、そこから熱が伝わりやすくなります。

たとえば天井裏の断熱材に厚み不足があれば、古い断熱材を別の役目に生かしながら、天井には新しい断熱材を施工する考え方があります。床下でも、床を支える部分や配管まわりを見ながら、施工できる範囲で入れ直します。

既存住宅では構造によって施工できる範囲が違います。古い断熱材を生かす場所と、新しく入れる場所を分けて考えることが現実的です。

5. 再利用は「処分しないこと」が目的ではない

古い断熱材の再利用は「処分しないこと」が目的ではないを表す図解イラスト

古い断熱材の再利用は、処分を減らすためだけに行うものではありません。家の断熱や空気の流れにとって役立つかどうかで決めます。

厚みが不足していたり、へたっていたりする断熱材を元の位置へ戻しても、必要な断熱性能は期待しにくいでしょう。壁の中を通る空気への対策が必要な家では、床や天井の断熱材だけを新しくしても、寒さが残ることがあります。

私が見てきた範囲では、足元の冷えには、床下の断熱不足や断熱材の落下、床下からの冷たい空気が関係している住宅が多くありました。足元が冷えるからといって、すぐに床下断熱だけを入れようと決めるのではなく、壁の中を通る空気も確認したいところです。

6. 家ごとの原因を床下・天井裏で確かめる

古い断熱材 再利用の家ごとの原因を床下・天井裏で確かめるを表す図解イラスト

寒い家、暑い家、足元が冷える家では、原因がそれぞれ違います。断熱材の不足だけが原因の家もあれば、断熱材のずれや空気の流れ、湿気の影響が重なっている家もあります。

見えない場所は、写真や憶測だけでは判断できません。床下で断熱材や木材の状態を見たり、天井裏で施工状況を確認したりして、はじめてわかることがあります。

気流止めが必要か、古い断熱材を使えるか、新しい断熱材をどこに入れるかも、現地を見ずに決めるのは難しいですね。断熱リフォーム相談室では、プロが現地で家の状態を確かめる無料の断熱診断を行っています。古い断熱材を残せるのか、寒さの原因がどこにあるのかを確かめるところから始めてみてくださいね。

古い断熱材を気流止めとして生かす考え方を、こちらの記事でも詳しく解説しています。

床下の断熱材をどう確認し、どのように補うのか気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。