断熱リフォームは壊しすぎないことにも価値がある

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断熱リフォームの話をすると、「しっかり直すなら、天井や壁や床を壊して、断熱材をきちんと施工したほうがよい」必ず、こういう意見があります。実際、壁や床を開けられれば、施工する側は中の状態を確認しやすくなります。断熱材を入れる場所も見えますし、施工も正確にできます。

その意見に対して、間違っているというつもりはまったくありません。
しかし、家を大きく壊す工事には費用がかかり、暮らしへの影響も出ます。
このあたりのことをまったく無視した意見が多いのも事実です。

私は長年この業界にいて、たくさんのお客様から、さまざまな悩みをお聞きしてきました。
そこで思うのは、理想と現実は違うということです。

当然、人が動いて工事をするわけですので、費用が発生します。
まして今の物価高です。少しでも費用は抑えた上で、暑い、寒いの悩みを解決したいというのは、当たり前の考えだと私は思います。だからこそ、その家にとってのコストパフォーマンスを最優先して考え抜くことが断熱工事でもっとも必要なことではないかと考えています。

この記事でわかること

  • 壁や床を壊す工事が断熱施工に与える影響
  • 解体範囲が広がったときの費用と暮らしの負担
  • 壊さずに確認できること、できないこと
  • 限られた条件で断熱性能を考える視点
  • 断熱リフォームで私が大切にしている考え方

1. 施工しやすさと、その家に合う工事は同じではない

断熱リフォーム こだわりの施工しやすさと、その家に合う工事は同じではないを表す図解イラスト

すでにお伝えしましたが、壁や床、天井の中に断熱材を入れる工事では、解体するほど施工しやすくなる面があります。構造の状態や既存の断熱材、配線・配管の位置を確認しやすく、断熱材も納めやすくなるからです。正直なところ、断熱工事をする職人さんからしても、無理な体制でやりづらい工事をするより、大きく解体して作業性良く仕事をするほうが気持ちは楽でしょう。

断熱材は、ただ入っていればよいものではありません。隙間が残っていたり、途中で落ちていたりすれば、本来の働きにつながりにくくなります。壁・床・天井の取り合いまで見ながら、どこまで連続して断熱できるかを考えながら施工しないといけないため、
床下に潜ったり、天井裏でずっとしゃがみながら施工するような作業性が悪い場所では、難度も格段にあがります。

じゃあ、解体して作業しやすい状況にしてから、施工していけばいいのかといえば、そうとも限りません。
壁を壊せば、元に戻す工事が必要になります。床をめくれば家具の移動も増え、住みながらの工事では使えない部屋が出ることもあります。

施工しやすいからといって、その家にとって最善の方法とは限りません。
私は、できるだけ壊さない方向で考えることを大切にしています。これは、断熱リフォーム相談室のコンセプトでもあります。
「そのまんま断熱」という名称をつけ、内装を壊さず、そのままの状態で断熱リフォームできる工法を推奨しています。

とはいえ、もちろん、開けなければ適切に施工できない場所もあります。そのときは必要な範囲で手を入れます。ただ、最初から全部を開ける前提にする必要はないと思うんです。それをしてしまうと、解体が前提になり、壊さずに工事をするという技術の発展がないんじゃないかと感じているからです。

解体しないと難しい直面に出くわすことも珍しくありませんが、そこで知恵を絞ることで、新たな解決策を生み出す楽しさもあります。増田は、それを生きがいにしているような男ですね。(笑)

2. 解体が広がると、工事以外の負担も増える

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解体範囲が広がれば、壊した壁や床を復旧し、仕上げ直す工事も必要なことはお伝えしました。この場合、間取りの変更や傷んだ部分の改修とあわせて行うなら、大きく手を入れることが合理的な場合もあります。

ただ、寒さや暑さを改善することが目的なら、性能を上げるための工事と、壊した部分を元に戻すための工事は分けて考えたいところです。私たちは、現状は間取りの変更を含む工事は行っておりません。それならば、私たちよりも良い提案をしてくれる会社が他にあるはずです。あくまで、私たちは、断熱リフォームをコストパフォーマンスよく施工できるNO1の会社を目指しています。そこに関してはどこにも負ける気はありません。

断熱リフォームで、どこまで手を入れるかは、家の状態だけでなく、何を改善したいのかで変わります。足元の冷えなのか、夏の2階の暑さなのか、部屋ごとの温度差なのか。目的が見えると、優先して見る場所も変わってきます。

3. 壊さない工事でも、見えない部分は目で確かめる

断熱リフォーム こだわりの壊さない工事でも、見えない部分は目で確かめるを表す図解イラスト

壊さない方法を選ぶからといって、見えない部分を見ないまま判断してよいわけではありません。写真や図面だけでは、床下や天井裏の実際の状態までは分からないことがあります。

床下や屋根裏に入れる条件があれば、そこから確認できることがあります。家によっては、床下も見れない、屋根裏にも上がれないという状況もあります。その場合は、さすがに想像だけで工事計画を立てるわけにもいかないので、点検口の設置工事を行います。

そこから侵入し可能な限り自分の目で見て、できる限りの情報を集めます。床下の断熱材が落ちていないか、天井裏にどの程度の断熱材があるか、壁の中へ空気が通りそうな箇所はないか。見るところは多数に渡ります。

その中でも重要なチェック項目が気流止めの有無です。
気流止めとは、床下や小屋裏から壁の中へ通る空気の経路を、壁と床・天井の取り合い部で区切る施工です。簡単に言うと、壁の中を通る空気の流れを止めることです。

床・壁・天井を別々に見ていると、こうした空気の動きが抜け落ちることがあります。プロが見るのは、断熱材を入れられるかだけではありません。断熱と空気の流れが、家の中でどうつながっているかを見ます。

床下や天井裏から確認できる範囲には限りがあります。状態によっては、開けてみなければ分からない部分もあります。それでも、壊さずに確認できる方法があるかを先に考える意味は大きいと私たちは考えています。

4. 限られた条件でも、断熱材が働ける状態を考える

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ひとつお伝えしておきたいのが、解体しないことは、性能をあきらめることではありません。全部を一度に直せない場合でも、どこに断熱を入れ、どこの空気の流れを止め、何を優先するかを考えることで、十分断熱効果を感じることができます。

既存の断熱材も、古いからすべて取り除けばよいとは一概に言えません。断熱リフォーム相談室では、既存材の状態や使えるかどうかを確認したうえで、壁と床・天井の取り合い部に使い、気流止めの一部として活用する場合があります。

ただし、断熱材を詰めるだけで気流止めが成立するわけではありません。空気の通り道を確実に区切れる形になっているか、周囲に隙間が残らないか、構造や防湿・換気の条件に問題がないかまで確認が必要です。必要に応じて、下地材や気密テープ、ウレタンなども使いながら、空気が抜ける経路をつくらないように施工します。

その上で、元の天井や床には新しい断熱材を施工する方法を採用することがあります。これはすべての家に使える方法ではなく、既存材の状態や構造によって判断が変わります。

大事なのは、見えている部分だけを整えることではありません。断熱材が本来の働きをしやすい状態をつくることだと考えています。

5. 壊しすぎず、必要なところにはきちんと手を入れる

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最後に重要なことなので、もういちど言わせてください。

きれいに壊せば、断熱施工は進めやすくなります。それは間違いありません。

しかし、解体による費用や、住まわれる方の暮らしへの影響まで考えると、いつでも大きく壊す方法が正解とは言えません。

断熱リフォームは、壁や床に断熱材を入れるだけの工事ではなく、家の状態と暮らし方を見ながら方法を選ぶ工事です。壊せるから壊すのではなく、壊さずに確認できることを確かめ、それで足りないところには必要な工事をする。

壊しすぎない工事と断熱性能の両立を考えることが、住まいに合った断熱リフォームにつながるのではないでしょうか。
私たちはそう考えます。

 

既存の断熱材をどう扱うか気になる方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。